聴覚過敏の原因と対策

論文タイトル

脳磁図から自閉症スペクトラムの聴覚情報処理過程を考える

医療系論文を理学療法士10年目の私が口語訳して紹介します。

カテゴリー

療育

出典

北海道大学大学院教育学研究院紀要(2016年 3月25日)

 論文を30秒にまとめると

口語訳タイトル

どうして聴覚が過敏や鈍麻になるの?聴覚過敏・鈍麻はどんな状態?


目的

聴覚過敏の原因を突き止めて、解決策を模索したい


方法

脳磁図を用いて研究された論文を読み漁ってその原因に迫った

過去の研究の結果

  • 自閉症児は定型発達児よりも聞こえてくる音に対して発生する、脳波が大きい
  • 自閉症児は高い音に対して発生する脳波が小さい
  • 大人になると脳波の違いが小さくなる
  • 自閉症児は脳内の神経配列の繋がりが弱い


著者の考え

  • 自閉症児は定型発達児よりも聞こえてくる音に対して発生する、脳波が大きいことに対して、よりうるさく感じている可能性がある
  • 自閉症児は高い音に対して発生する脳波が小さいのは、聴覚鈍麻に繋がるヒントになりうるかもしれない
  • 大人になると脳波の違いが小さくなるということは、脳神経の成長とともに整ってくる可能性がある
  • 自閉症児は脳内の神経配列の繋がりが弱いので、必要な情報(言葉や警報音)と不必要な情報(雑音など)がうまく処理されていない可能性がある

 私の考え

私の考え

自閉症児は生活上の困難さを抱えていることが多くて、その困難さを解消する方法が色々と検討されているよね。



ざっと列挙すると、

  • 行動にムラがあっても問題なく生活するための対策を模索する方法
  • 行動のムラそのものを減弱させる方法
  • 行動のムラが生じる原因を突き止め、ムラを生じさせない方法



があって、もう少し具体的に言うと、

  • 絵カードやイヤーマフなどの代替手段を用いる方法
  • 徹底した療育を行う、治療薬を開発する方法
  • 何を見てどのように感じ、なぜムラのある行動するのかをひも解いていく方法
  • ってな感じ。

    最近の解消方法を見ていると、様々な方たちが、様々な想いと立場で、それぞれの持論を展開している感じ。

    私も同じ穴のムジナであることに異論はない。ちなみに私は行動のムラそのものを減弱させる方法を考えている派だ。

    この論文では行動のムラが生じる原因を突き止め、ムラを生じさせない方法を探求している。

    その為に脳の中でどのような活動が起こっているかを確認して、考えようとしている。実に素晴らしい。

    結果の上3つのグラフがこちら。






    ASDが自閉症スペクトラムの略で、TDが定型発達の略ね。

    これを見るとどの音を聞いても同じように反応しているのがASDで1000Hz(高い音)のみ大きく反応しているのが定型発達児ね。このバーが大きいほど、音が大きいと感じているらしいんだけど、これはほんと興味深いよね。
    定型発達児が10くらいに感じる音に対して、自閉症児は25くらいに感じているんだね。約2.5倍だよ?
    テレビの音量に例えると、普段20で設定している音が、50に設定されているようなもんだよ。こんなのうるさすぎて耐えられないよ。えげつない。そらイヤーマフいるわ。
    さらに言うと、結果の4にもある通り、自閉症児は脳内の神経配列の繋がりが弱いので、『必要な情報と不必要な情報を取捨選択することが難しい』とされているので、意味も分からないすっごい雑音が頭に飛び込み続ける状態だということが分かると思う。
    そんな中で、人の指示を聞くとか、物事に集中するとかっていうのはすごく難しいことが容易に想像できると思う。
    だから、自閉症児と相対するときは、静かな環境で、こちらに目いっぱい注意を向けさせた状態で話す必要があるということが分かるよね。

    あと、結果に対する考察をするとすると、成人した自閉症児と定型発達の子どもの脳波を比べると、子どもの頃よりは脳波の差が小さくなっていたので、成長とともに聴覚過敏は治まっていくということが言えそうだね。
    子どもの頃に何ができないかというと、自閉症児は脳内の神経配列の繋がりが弱いというところに対して、療育をしっかりするということかな。
    私は
    行動のムラそのものを減弱させる方法を考える派なので、療育に可能性を残したい。療育ってのは、治療的教育の意味で、治療ってのが脳に対して治療的な要素を含むってことね。
    現在の脳学会では階層性理論というのが主流派で、大脳新皮質が辺縁系や脳幹を統べていると言われている。なので、脳の中でも新皮質にアプローチする必要があるということが言えると思うんだ。ちょっと脱線したけど、聴覚過敏の原因が分かってきたので、その対策ってのも色々と考えられそうだね。

     まとめ

    自閉症スペクトラムなど、発達障がいと言われる子どもとそうでない子どもの差は脳にあるってことが確定しているので、脳の研究を進めること、その情報をキャッチすることがすごく大切だね。この論文を読んで、『聴覚過敏は成長とともに治まっていく』可能性が高いことが分かれば、期間限定の対処法もとれるし、何より少しでも安心できるんじゃないかなと思う。子どもの将来に強い不安を抱えている親御さんの気持ちが少しでも楽になれば嬉しいな。コメントももらえると嬉しいな。


    本日はここまで~



    作者:理学療法士 国宝孝佳


    おねがい

    口語訳してほしい文献があれば、コメント欄にお願いします^^
    英語論文でもOKです^^

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