その転倒予防体操、もしかして間違っていませんか?

論文タイトル

加齢による二重課題バランス能力低下と転倒及び認知機能との関連について

医療系論文を理学療法士10年目の私が口語訳して紹介します。

カテゴリー

転倒予防,加齢,二重課題,バランス能力,転倒,認知機能

出典

理学療法科学24(6):841-845,2009

 論文を30秒にまとめると

口語訳タイトル

その転倒予防体操、もしかして間違っていませんか?


目的

バランスをとることと頭を使うことを同時にすることは、若者と高齢者で何か違いがでるのか?そしてそれは転倒やボケに関連するのかを調べる


対象

高齢者26名(平均83歳)、若者10名(平均22歳)


方法

  1. バランス測定として重心動揺を測る
  2. 動的バランスの測定としてステッピングテストを実施
  3. 二重課題として上記2つを引き算(100から順に7を引く)しながら実施
  4. 高齢者のみ認知機能の検査を行う


結果

  • 高齢者において二重課題において重心動揺は大きくなった
  • 動的バランスにおいては若者も高齢者も二重課題ではステップ回数が低下した
  • 転倒群と非転倒群では、ステッピングテストのみ転倒群では二重課題の有・無しに関わらず、有意な低下を認めた
  • 前頭葉機能が低下している高齢者はステッピングテストにおいて有意な低下を認めた


著者の考え

  • 高齢者においては二重課題においてその対応能力が低下するが、ステッピングテストのように難しいテストでは若者においても対応能力が低下する
  • 転倒群はステッピングのような重心が動く動作においてより不安定性が増しやすい傾向にある
  • 単なるバランス能力の低下だけでなく、前頭葉の機能をみた評価・アプローチが必要となる

 私の考え

二重課題では重心動揺(高齢者のみ)と動的バランス能力が低下する

よく臨床場面でもみるケースなんだが、歩いている高齢者に急にしゃべりかけると立ち止まる人って多くない?

あれって、なんで急に立ち止まるのかなって結構当たり前にみる光景だけど、何故それが起こっているのかってあんまり考えたことってないことない?

我々みたいに立ち止まる必要がない若者でも、実はしゃべりながら何かをする時ってある程度体に変化が起こるんだよね。

これは前回あげた歩きスマホのニュースの時にも、身体的変化としてのせているので気になる人はまたチェックしてみて。

歩きスマホの考察はこちら!!

特にステップ動作のように重心が大きく動く時って、頭で色々考えながら動作をするからどうしても自然と体が動きにくくなるんだよね。

少し専門的にいうと、我々が動く時って必ずその動きに合わせて絶妙なタイミングで体がこけないように制御する機能をもっているんだよね。

よくこれを「予測的姿勢制御」なんて難しく表現するんだけど、要はあらかじめこけないように前もって体にある筋肉や関節を動かして、こけないようにするって機能があるよってこと。

実はこの時に脳みその前方部分が働くって言われていて、この二重課題では何かをしながらって行為になるから、もうすでに脳みそを使っちゃってるから余計に動きに不安定さが生まれるってことなんだよね。

だから若者でも不安定になることがあるんだよね。

そして、これは特に高齢者においては転倒しやすい人はよりその機能が落ちているってことなんだよね。

転倒群はステッピングのような重心が動く動作においてより不安定性が増しやすい傾向にある

ただでさえ、転倒しやすい体なのに、頭で別のことをしながら、かつバランスが崩れないように体をコントロールするって、もう今にもこけてくださいって言っているようなもの。

そりゃ、歩いていたら止まるのって目にみえてるよね。

でもここでひとつ面白かったのは、ただ立つこと自体の姿勢のコントロールには転倒群と非転倒群であまり違いがなかってこと。

つまり転倒の原因って歩きながら何かが起こることでこけるってことなんだよね。

だから転倒しやすい、もしくは転倒リスクの高い高齢者においては、立つ筋力を鍛えるよりも歩くことを重点的にやらないと、結果的に転倒予防にはつながらないんだろうな。

巷でやってる転倒予防体操みたいなので、握力がとか、膝をのばす筋力がってやっているけど、本当に転倒予防をするなら、歩くことで鍛えるのが一番効率的なんだよね。

でも、それって高齢者一人ではリスクが高い場面があるから、それをしっかりサポートできるスタッフの付き添いがまずは必要なんだろうな。

そしてそこからいかに手が離れていけるかってことを、もっと我々リハビリに関わるものは考えていかないといけないんだろうな。

前頭葉機能が低下している高齢者はステッピングテストにおいて有意な低下を認めた

前にも書いたが、動きに先立って姿勢などをコントロールするのに、この脳みその前方(前頭葉機能)が関わるっていったように、ここの機能が落ちている高齢者って、より転倒しやすい傾向にあるのが、この結果からもみてわかる。

そう考えるならば、高齢者のリハビリにおいても、実はただ歩くだけではなく、歩きながらの「〇〇ながら練習」が必要になってきそうだね。

こうやってバランス機能を高めるとともに、頭の機能も鍛える。

最近ではそういったリハビリ訓練の方法もあるので、是非そういったことを普段の生活でも取り入れていけるような対応も、高齢者の方々自身が知ることも大事になるんだろうなって思う。

 まとめ

最近では若者の間でも歩きスマホのように、〇〇しながら歩くってことにおいては、危険がいっぱい潜んでいると言われている。

だからこそ、こういった転倒に関する力学的な問題だけでなく、脳の観点からも転倒といったことを把握していけるとまた違った予防としての取り組みができるんだろうなって思う。

それをできるのって我々セラピストだけだから、このブログを通して微力ながらも、転倒予防につながるような情報発信がしていければなって思う。

またこのブログをみてくれた人は是非、色々情報拡散してくれると助かります。


本日はここまで~



作者:理学療法士 中上 博之


おねがい

口語訳してほしい文献があれば、コメント欄にお願いします^^
英語論文でもOKです^^

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