転倒予防に必要な予測力!!それにより変化する体の反応の違いとは?

論文タイトル

歩行中の方向転換動作における予測の有無が運動戦略に与える影響

医療系論文を理学療法士10年目の私が口語訳して紹介します。

カテゴリー

転倒予防、歩行、方向転換、予測、運動戦略、クロスステップ、股関節回旋

出典

理学療法東京(4),40-49

 論文を30秒にまとめると

口語訳タイトル

急な方向転換を回避するために必要な能力とは


目的

予測の有無による方向転換時の動作パターンの違いを明らかにする


対象

元気な若者男性18名(年齢28歳前後)


方法

  1. 5mの歩行路を歩く
  2. 予測群:あらかじめ曲がる方向を伝え、方向転換を行う
  3. 非予測群:曲がる方向は伝えず、合図に従い方向転換を行う
  4. 直進群:合図がなければそのまま直進方向に歩く


結果

  • 予測群では頭-胸-骨盤と順番に回る動きが始まり、方向転換をした
  • 非予測群では頭-胸-骨盤が同時に回って方向を変えた
  • 予測群はサイドステップを、非予測群はクロスステップにて対応した


著者の考え

  • あらかじめ方向転換がわかっているため、歩行転換に必要な歩行の減速を行いながら、次に方向を変えるために必要な足を出す位置を調節していた。それが体の各パーツを別々に動かす要因につながったのではないか
  • 急な方向転換で、歩行をあらかじめ減速させることなく、瞬時に体や足の向きを変える必要があった

 私の考え

予測群では頭-胸-骨盤と順番に回る動きが始まり、方向転換をした

歩くときって普通、自分の体が傾いているとか、少し斜めになっているとか、そんな細かいことって意識しないよね。

でも、狭い通路を抜ける時とかって、勝手に体の向きを変えてたりしない。

だいたいの予測を立てることで、あれだけの幅ならこの向きで通れるなって瞬時に考えられるから、駅中でも人にぶつかることってそうないよね。

たまにめっちゃぶつかってくる人いるけど、あれってたぶん自己主張が強いんだろうな。「俺様を誰だと思っているんだ、其方が道を譲れ」みたいな。

それか、自分の体を把握していないかだよね。「私は体が細いから大丈夫」みたいな。

このようにヒトが動くときって、常に動きを頭が勝手に予測しながら動いていてくれるという仕組みがあるんだよね。

そして、それは無意識に行われていることが多いため、我々は動きに対してそんなに敏感になる必要がないよね。

もし、そうじゃないとするならば、何をするにもいちいち体の部分を意識しないといけなくなり、それだけですぐ疲労困憊になってしまう。

子どものころに練習した自転車なんかを思い出してほしい。

あれって始めは、三輪車から補助輪をはずしたときは、乗っててもどちらに転ぶかわからず、フラフラしながら必死でまっすぐしようとしていたはず。

その頃はちょっと練習しただけで疲労困憊になるけど、乗れるようになると、今なんかは意識して倒れないようにしようとはしないし、自転車乗ってて疲労困憊にはならないよね。

それってもう脳みそが動きを予測できるようになったから、自然と傾いたりするとそれを無意識のうちに修正して、より効率的に動いているんだよね。

そう考えると人間の脳ってホント素晴らしいなと思うわけ。

これは方向転換するときも一緒で、先に曲がることがわかっていれば人は経験上、どうすれば効率的に方向をかえれるかを瞬時に判断する。

そしてそれに応じた運動のやり方を選択するため、上から順々に(頭から徐々に)体の向きが変わっていくことになる。

しかし、それを予測できない場合になるとどうなるのか、それについて以下にまとめてみる。

非予測群では頭-胸-骨盤が同時に回って方向を変えた

これはもう予測ができない状態で、とっさに方向をかえるならもう力ずくでいくしかないよね。

そうなると流暢に体を捻っている暇なんてないし、勢いよく体を動かさないといけない。

こういった時って滑らかに体が動くんじゃなくて、一気に力がはいってしまう。

だって、歩いている途中なわけだから、体には前に行くっていう推進力が加わっている状態だもんね。

歩いてて急に止まってって言われても何歩かステップ踏まないととまれないもんでしょ。これでピタッと止まれる人いたら、それだけで転倒予防できちゃうよね。

一度は遊んだことがある、だるまさんが転んだ。あれって「だーるまさんが・・」って声がなく、急に振り向かれたらもう止まりようないから一気に体が膠着してしまわない。

でも、ある程度いつくるかわかっていれば、それに合わせて徐々に動きを切り替えられるでしょ。

それと一緒で、歩いている途中で急に方向をかえるとなると、強引に体を自分の力で引っ張らないと無理だもんな。

そうなると自然と次に出すステップの出し方が変わるのは当たり前だよね。

予測群はサイドステップを、非予測群はクロスステップにて対応した

そんな風に動きを予測できるかできないかで次の一歩の出し方がかわるのはさっきも書いた通り。

今回は若者への研究だが、過去の論文でも高齢者になればなるほど、方向転換時なんかはクロスステップで向きを変えることが多く、それが転倒に繋がりやすいって報告も多数みられる。

確かにお年寄りって動くのはゆっくりだけど、急に止まってって言われても中々難しいもんな。

じゃあ、このステップの違いを生み出すためにはどこの関節の動きが一番重要になるんだろうってのが気になるところだよね。

この時に最も使う関節が股関節なんだよね。

どういうことかというと、サイドステップの場合は足をただ横に出すだけの運動だが、クロスステップになると軸足に対して体をねじって一歩を出す必要がある。

これは股関節に過度な回旋要素が必要になるって結果なんだよね。

これは前のブログ
  
方向転換時のこけそうになる原因は?大事なのはこの関節にあった。

にも書いているので気になる人はチェックしてみて。

 まとめ

転倒するって、何かにつまづいたり、足を滑らしたりって原因は色々あるけど、個人的にはこの急に方向を変える時って結構日常生活の中でも多いんじゃないかなって思う。

急に呼び止められたり、ぱっと何か思いついて時に頭では動こうと意識するんだけど、実際は体がついていかないみたいな。

それって高齢者になればなるほど、このとっさの動きに対しての反応性って絶対鈍くなるから、そういった時に転倒に繋がりやすいんじゃないかなって感じるよね。

普段の歩きの中でなんか足をよくクロスしてもつれやすいなって感じる時は実は危ないサインかもしれないよね。

あまりこけないようにって気を張りすぎるのもよくないけど、少しそういったことも意識するのとしないのとでは転倒リスクもまた変わってくるんじゃないかなって思う。

何事も起こってからでは遅いんで、転倒予防に対しても、まずはこけないように何をすべきか、当事者個人もそういった心構えを持つことって大事なことなんだろうね。


本日はここまで~



作者:理学療法士 中上博之


おねがい

口語訳してほしい文献があれば、コメント欄にお願いします^^
英語論文でもOKです^^

転倒予防に必要な予測力!!それにより変化する体の反応の違いとは?” への3件のフィードバック

  1. 中原玉香 返信する

    本当にお言葉に甘えて投稿させて頂きます。

    転倒とかではないですけどいいですか?
    フェイスブックのリハビリテーション栄養学会グループで、若林先生が投稿してくださっていた論文です。

    https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28668663

    おおまかな内容は、「長期ケア施設入所者の食事摂取不良の有病割合と決定因子という論文です。年齢、eating challengesの回数、ピューレ・流動食、時々食事介助が必要だと、エネルギーたんぱく質の摂取量が少ない結果でした。」だそうです。

    パソコンの翻訳では読みましたが、おおまかなことしかわかりませんでした・・・。
    施設入所の高齢者さんは確かに低栄養の方が多いのですごく納得しました。

      • 中上 博之 投稿者返信する

        中原玉香様

        返信が遅くなり申し訳ございません。
        以下に論文内容を簡単に訳してみました。

        目的:ご飯を食べれない施設入所者は栄養不良につながるが、ご飯を食べれない原因は明確ではなく、その介入方法も確立されていない。この研究は施設入所者のエネルギーおよびタンパク質の摂取量を測定し、有病率に関わる原因とその原因に対する食事摂取量との関連を調べる。

        対象:639人の住民のうちデータのとれた628人を対象
           平均年齢は86.3±7.8歳でうち女性は69%を占める。

        測定値:
        3日間の食物摂取(メイン、飲料および惣菜、お菓子)
        健康に対する記録は診断、投薬、食事処方について検討
        栄養評価(SF評価)
        口腔機能と嚥下障害リスクをチェック
        食生活課題の特定(Ed-FED)
        スタッフとの食事の摂取方法
        食事時間(食べてる時間と介助を受けた時間)
        食事環境は食事環境監査プロトコルを使用(身体的特徴、食事の場の雰囲気)
        アンケート記述

        結果:
        エネルギー摂取量は1571.9±411.93kcalで、タンパク質は58.4±18.02g/dであった。
        出された食事量に比例して、食事摂取によるエネルギー量は増えた。
        そのうち年齢、食べようと試みた回数(eating challenges)、ピューレ食/流動食、食事介助が必要だと、エネルギー及びタンパク質の摂取量が少なかった。
        男性であり、認知症ケアユニットにいるがMini-Nutritional Assessment-Short Form scoreが高い人はエネルギー及びタンパク質摂取量と正の相関があった。
        エネルギー摂取量においては、人が関わるケアと正の相関があり、タンパク質摂取においても栄養士の関る時間と正の相関があった。

        結論:食べ物の形態や介助者などの人が介入するケアによって食事摂取量の改善を支援する可能性が示唆された。

        食事摂取には食形態をコントロールすることも必要なのだが、それと合わせて援助者の介入によっても摂取量などに大きな影響を与えるということがこの論文から読み解けます。
        具体的な内容の記載はなかったが、恐らく食べる環境をどう設定し、利用者様の食欲を引き出すことができるのか、また介助者がどのような技術を用いて食事介入に入るのか、より専門的な栄養士などが食事場面に入っていくことで、効率よく必要な栄養素を摂取できるのかといった、いろいろな観点から食事をみていけると、その方の機能を引き出すことにつながるのではないかと思いました。日本などでみられる施設における個室での食事やテレビをみながらの食事環境、集団で食べることのメリットやデメリットを考えながら、いかに食事摂取につなげていけるかを考えるのも大事になりそうですね。

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