転倒しやすい人がなぜ足元をみやすいのか?そのメカニズムが明らかに!!

論文タイトル

不安定面での姿勢制御能力が地域在住高齢者の転倒に及ぼす影響

-不安定面での重心動揺検査における検証-

医療系論文を理学療法士10年目の私が口語訳して紹介します。

カテゴリー

転倒予防

出典

ヘルスプロモーション理学療法研究 Vol.5,No2:75-79,2015

論文を30秒にまとめると

口語訳タイトル

転倒予防に必要な姿勢保持に必要な能力の内訳は?

目的

不安定な場所での姿勢保持が転倒にどのように影響しているかを、地域の高齢者を対象に明らかにする

対象

歩くことが可能な65歳以上の地域在住高齢者(すべて女性で55名)

方法

  1. 転倒歴の聞き取り
  2. 身体機能評価(握力、膝伸展力、足趾把持力、バランス力、片脚立ち)
  3. 重心動揺検査(不安定面あり・なし)
  4. 転倒群・非転倒群に分けたのち、これら3つを統計処理し、関連性を探す

 

結果

  • 不安定面上では体の揺れに変化があったが、転倒歴にはあまり関係がなかった
  • 転倒群・非転倒群では視覚に頼った重心の取り方の方法が違った

 

著者の考え

  • 不安定面での立位保持だけでは、転倒に直接的につながる要因をみつけるには不明確ではないか
  • 非転倒群は足からの情報が入りにくくなると、その分、目の情報を頼ることが多くなる。逆に、転倒群は不安定面でなくても足からの情報が取りにくいため、普段から目の情報を頼りやすい

私の考え

不安定面上では体の揺れに変化があったが、転倒歴にはあまり関係がなかった

転倒に関する要因は大きく分けて2つあるとされている。

1つは自己の身体的な機能による(例えば、こけないように踏ん張るような筋力や、立ったり、歩いたりしてもバランスを崩さないバランス力のような)内的要因がある。

そしてもう1つは、自己に関わってくる(床面などの環境や履いている靴、その場の明るさなど)外的要因の2つに分けられる。

そのうちの内的要因として、あくまでも歩いているという時を想定した場合は転倒要因になりうるが、不安定面上でただ立っておくことに関しては、それほど転倒に直接結びつく影響は少ない。

確かに、地域在住である程度歩行が可能な人が、立ってて急にこけるなんてことがあれば、それこそ街中で転倒する人があふれかえってしまう。

地震みたいに大きな揺れが起きればそれはあり得る話しかもしれないが。

そもそもこけるっていったことの要因に歩いている途中にというものが大前提で、動くことでより不安定な状況となり、転倒を引き起こすことは容易に想像できるだろう。

そう考えると、ただ単なる立位の能力が直接的に転倒の原因になるかというとそれは違うということになる。

ただこれはあくまでも、歩ける人を想定してもらいたく、実際は立つこともできない人も中にはいるわけで、そういった方は急にこけるリスクも十分にあるということは注意が必要だ。

大事なのはこの揺れに対してどういった反応や体の変化を作り出せるかが大事で、そこをみつけていく必要が我々に必要な能力なんだと思う。

転倒群・非転倒群では視覚に頼った重心の取り方の方法が違った

この結果には個人的には “なるほど” と感じた部分が多かった。

ヒトは姿勢を保持する上で大きく3つの能力を用いてバランスをとるとされている。

1つは、足から直接入ってくる情報(用語としては体性感覚というもの)で、足の裏の感触や足の筋肉からの情報がこれにあたる。

2つめは、頭の揺れなんかを感知する情報(前庭感覚といって、耳の中にある三半規管などがこの感覚を担い、ここが障害を受けたりするとめまいなどの症状が起こるとされる)である。

そして3つめが目からの情報(視覚情報)で、これは目を開けている時とつぶった時で体の揺れが大きく変わるということからもわかりやすい情報である。

この3つの情報のバランスがうまく機能するから我々は巧みにこけないように体の反応を引き起こすことができる。

そして、我々はこの3つの割合を場面に応じて変化することができるとされている。

転倒しにくい人たちは姿勢の変化に対して柔軟に対応できるよう、足首の動きを柔軟に使ってバランス崩れを補正している。

確かに、バランス能力が良い人って片脚立ちにしろ、その場でのダイナミックな動きにしろ、体が大きく崩れることなく上手に平衡を保ちながら動作できるもんな。

でも転倒しやすい人達って、そういった課題に対してすごい体が大きく揺れることってない?

じゃあ、元々転倒しやすい人達は、どこの情報を頼りにしているのであろうかと考えると、足の情報を頼れていないことが多く、目で足元をみたりすることが圧倒的に多い。

これは筋力低下や、脳の情報処理の問題など色々ありそうだけど、それにより実は普段から目からの情報を頼りまくっているケースって多いんだよね。

ここから考えると、転倒しにくい人が不安定面上に立つことで、実は転倒しやすい人に似た環境ができるってことだよね。

どういうことかというと、それまで安定して立っている人が不安定面上に立つことで、足からの情報が頼りにくくなり、目からの情報を頼ろうとする方法に変わるということ。

それに反して転倒しやすい人達は、不安定面の有無に関わらず視覚を頼っているケースが多いから、それなら視覚を頼らずバランス練習としては足からの情報をとれることを考える必要がありそうだなってことがよくわかる。

足からの情報の大事な要素ってなると、今回の結果からでは明確にされていないが、個人的には筋肉の作用の中で、どの位置でも必要な筋活動が発揮できるようなトレーニング(例えばクロスステップ肢位でのバランス能力や、はやくステップ動作を出す練習など)を行っていくことが重要になってくると思う。

まとめ

この論文の考察にもあったが、転倒に関する要素として内的要因からどういった機能低下が起こっているのかを判断する必要が重要になる。

内的要因の影響により目からの情報に依存しやすいといったことは、それにプラスして、外的要因としての夜や暗い場所での歩行や、足からの情報を取りにくくなるような履物など、気をつけるべき点とその関係性をより深く知れる内容の論文だった。

どちらかを気を付ければみえてくるもう一方の問題や課題。

これをしっかり結び付け、日々の転倒予防に対する高齢者へのアプローチも考えていく必要がありそうですね。

本日はここまで~

作者:理学療法士 中上 博之

おねがい

口語訳してほしい文献があれば、コメント欄にお願いします^^英語論文でもOKです^^

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