年をとるとこけやすくなる!?その原因が明らかに!!

論文タイトル

女性高齢者における脊柱弯曲角度と身体諸機能・転倒歴

医療系論文を理学療法士10年目の私が口語訳して紹介します。

カテゴリー

転倒予防、脊柱弯曲、女性高齢者、転倒歴、歩行能力

出典

理学療法学,2013,40;465-472

 論文を30秒にまとめると

口語訳タイトル

背が縮むと運動機能や転倒に関係するのか?


目的

部位ごとの背骨の曲がりが運動機能や転倒に影響するのかを調査する


対象

78歳前後のおばあちゃん(42名)


方法

  1. 背骨の評価
  2. 運動機能のチェック(立位・歩行能力)
  3. 転倒歴の評価
  4. 上記3つの関係性をみる


結果

  • 全体的な背骨の曲がりと、腰の曲がりは歩行機能と転倒不安感に関係する
  • 背中(胸の部位)付近からの曲がりは転倒歴に関係する


著者の考え

  • 背骨の変化は姿勢だけでなく、足の状態にも影響する
  • 転倒歴と背中の曲がりの関係性は先行研究と一致しない部分がある

 私の考え

全体的な背骨の曲がりと、腰の曲がりは歩行機能と転倒不安感に関係する

年をとるとよく聞くのが、「昔はもう少し背が高かったんやけどな、もう縮んでしもたわ。」っていう会話。

このように、年齢により背中の骨が変形したり、軟骨成分のすり減りにより腰や背中が曲がり、自然と背が縮むことはなんとなくイメージがつく。

じゃあ、その背が縮むことが何かしら体への影響を及ぼすのかって確かに疑問に思うところ。

先日も埼玉医大の研究チームが背が縮むと転倒率があがることを調査結果として出していた。

では、なぜ背が縮むとこけやすくなるのか。一般的に考えると背が縮むと重心が下にさがるため、実はヒトの骨格構造を考えれば安定するはず。

でも、それはヒトを物体という“もの”として捉えた場合で、実際は足も曲がったり、背筋を伸ばすために必要な筋肉量も減るはずだ。

そうするならば自然と、体を支える機能や歩く機能が落ちることはイメージがつきそうだ。

そして、本来ヒトが直立2足歩行になった結果、背骨にきれいな弯曲ができたと言われている。確かに4足歩行の動物で背骨がきれいに弯曲している動物ってみたことがない。

そうするならば、その弯曲が失われると、自然と直立2足歩行ができにくくなることも考えられる。

その中でも全体的な背骨の曲がり具合と、腰の曲がり具合だけが歩行に関与していたというデータは色々興味深いことを示唆してくれてそうだ。

高齢者の方々を治療する我々セラピストにとって、ただ「はい背中をしっかり伸ばして」といったことだけを考えるのではなく、どの部位がどういった動作に影響を及ぼしているのかを、動作分析としてしっかりみる必要がある。

そして、それを追求していくと、実は腰や背中が曲がってくる前にどういったことを運動習慣として「予防」といった観点から指導すればよいのかのヒントが見えてきそうだ。

そういった意味でも、背が縮むといったことを運動機能や歩行などの側面と絡めて考えていくことって、非常に大事な評価能力になり、治療的側面も考えるヒントになるに違いない。

背中(胸の部位)付近からの曲がりは転倒歴に関係する

背中の曲がりってそのまま直結して姿勢の崩れに影響していると思う。

ただ、その背中の曲がりが必ずしも背骨全体の曲がりに繋がるのではなく、ヒトによっては体全体が前に曲がるヒトもいれば、逆にお尻が前に反り出てくるヒトがいるのもよくみかける。

そう考えるとヒトの骨格ってなんだか不思議だなって思うんだけど、前者は前方に転げやすく、後者は後ろに転げやすいっていうまた違った反応もでてくる。

どちらのタイプが転倒しやすいのかとか、そこまでの細かいデータはなかったが、こういった違いでみてみるのも面白いなって思う。

様々な実験結果で異なる結果がでたということが論文中にあったが、それだけ実は背中の曲がりって色んな身体機能への影響をもっているから、こういったことをより細かくみていく必要がありそうな気がする。

 まとめ

姿勢による転倒への影響って考えれば考えるほど難しくもあるけど、絶対転倒歴には影響してそうなのが今回の論文からでもよくわかった。

そして、それはただ背がのびているってことだけでなく、どの部位の曲がりが強くて、どういった姿勢を呈しているのか、そこまで深く考えていく必要がありそう。

そして、それがどのように動作に影響を及ぼしているかを考えないと、ヒトってその姿勢で動くことになれているから、急に姿勢が変わると動きやすくなるっていう側面もあれば、逆に不安定になる側面ももっているってことを頭の片隅においておく必要がありそうだな。

巷で流行っているストレッチング専門店や整体院なんかで背骨をぐいっと伸ばしてもらった後、実は動きずらくなったなんてことになったら本末転倒だもんな。

こういった細かい評価や姿勢の分析って我々セラピストじゃないと中々できないことだと思うし、そこに関しては自分自身まだまだ勉強が必要だと改めて感じさせてもらいました。

皆さんは姿勢の評価をどこまで細かくしてますか?

昔より背が縮んだって高齢者を見つけた時は転倒リスクが高くなっているってことを考えておいてくださいね。


本日はここまで~



作者:理学療法士 中上博之


おねがい

口語訳してほしい文献があれば、コメント欄にお願いします^^
英語論文でもOKです^^

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